スミシー医ハーサカのブログ

医学部に入学してから卒業するまでのたわいもない話

#19 第117回医師国家試験受験記 ①試験前日編

The day before the examination

 

こんにちは、スミシー医ハーサカです。

 

前回お知らせした通り、しばらくは「国試受験記」としての活動を展開していきます。

その第1回目である今回は、国試前日について書いていきたいと思います。

どうぞ最後までお付き合いいただけると嬉しいです。

 

 

はじめに

私の試験会場は自宅からは通うのはしんどいくらいに離れていたので

試験前日は会場近くのホテルで過ごしました。

私と同様に、前泊する予定でいる方にとって参考になればと考えております。

また、試験会場が自宅から近く外泊の予定のない方にも、

何か得られるものがあるような受験記を心がけて執筆していくつもりです。

それでは最後までお付き合いください。

 

ホテルまでの移動

ホテルまでの移動は同期と一緒でした。

 

医学部では臨床実習が始まると、同期が一堂に会する機会は極端に少なくなり、

大事な説明会や模擬試験くらいとなります。

そのため、同期が大勢集まるようなイベントがあれば、

友人らとの久々の再会に興奮を隠せないのか、

その場はいつも決まって話し声や笑い声で溢れていました。

 

ところがホテルまでの道中は小声であっても耳立つほどに静かなものでした。

みんなの焦燥や不安、緊張といった感情により、

センター試験や二次試験の会場で感じたあの独特な雰囲気が醸成されていました。

コロナ禍ということも相まって、お互い干渉することを必要最低限に抑えており、

各々一人の時間を過ごしていました。

 

私はイヤホンを装着してお気に入りのアニソンを聴きながら

スマホアプリで遊んだり必修の過去問に目を通したりしていました。

ちなみに最近よく聴くアニソンは「ぼっち・ざ・ろっく!」の曲です。

もちろん最推しの作品であるかぐや様は告らせたいの曲もヘビロテです。

 

ホテルまでのルートはプライベートでもよく利用していたのですが、

この日はいつもより移動に時間がかかったように感じました。

国試に対する焦りやプレッシャーはあまり感じてはいないつもりでしたが、

心の平静を保つのがいかに難しいのかを改めて知りました。

 

ホテルに到着

ホテルに着いたのは16時ごろでした。

宿泊したホテルは一般的なビジネスホテルでしたが、

外観も内装もそれなりに年季の入った建物でした。

 

ホテルの手配は同期の分もすべて国試対策委員と呼ばれる方々がしてくれていたので、

彼らからルームキーを受け取るのみでチェックインは完了しました。

(国試の前日と当日の合わせた3日間は国試対策委員に大変お世話になりました。)

 

用意された部屋には、シングルベット、テレビ、冷蔵庫、スタンドライト付きデスク、

お風呂とトイレと洗面台が一緒の”3点式ユニットバス”が備え付けられていました。

所々リノベーションがなされており、

ユニットバスが新調されていたことはとても嬉しかったです。

また、スタンド付きデスクも便利なもので、食事や持ち物の整理に重宝しました。

 

ホテル到着から夕食までの過ごし方

持ってきた荷物を拡げ終わると、夕食の時間まで小1時間ほどありましたので、

飲み物などを買うために、近くのコンビニまで出かけることにしました。

 

コンビニまでの距離は徒歩で10分くらいでした。

実のところ、コンビニに行かなくても欲しいものは手に入れることは出来ました。

それなのになぜ、寒い中わざわざ外出することにしたのかと言いますと、

移動中のピリピリとしたあの空気はボディーブローのように効いてきており、

ホテルの個室で一人っきりでいてもどこか心苦しかったのです。

普段なら嫌でしかない冬の冷たい風も、この時だけは心地よいとさえ感じられました。

コンビニまでの道は新鮮なものであり、これもまた良い気分転換になりました。

 

国試の勉強とは鬼のような反復作業であり、そこに「新鮮」の2文字はありません。

むしろ、新鮮に感じる知識があるというのは学習が不十分であることの証左です

 

ちなみにコンビニでは、サントリー天然水の2Lペットボトルを1つ、

伊右衛門の500mLペットボトル1つ、味の素 クノール スープDELI2種類、

C1000 ビタミンレモン1瓶、リポビタンD1瓶、などを購入しました。

選ばれたのは綾鷹ではなく伊右衛門でした。

コーラはコカコーラ派ですが、お茶はサントリー派です笑。

 

夕食

コンビニから戻ると程なくして夕食の弁当が委員から配布されました。

弁当のクオリティーはなかなか高いもので、美味しくいただきました。

なお、どんな内容の弁当だったかはぶっちゃけ覚えていません。

弁当ばかりの3日間を送ったので、いつ何を食べたのかが曖昧なためです。

決して認知症だからではありません。

桜・猫・電車?100 93 86 79 72…?そ、そんなの余裕ですよ…。

 

料理するのが好きでいつもは自炊しているため、弁当を食べることは滅多になく、

弁当で食事を済ませたのは臨床実習で高級弁当をいただいた時くらいでしょうか?

食品の買い出しから食器を洗い終えるまでに最低でも2時間はかかるのですが、

おかげで夕食を終えても20時を回っておらず、時間的な余裕を得ることができました。

これからは弁当やお惣菜を利用する機会をもうちょっと増やそうかな?

と思ったくらいには楽なものでした。

でも、料理は出来立ての状態が一番美味しいですし、

好きなものを好きな様にアレンジできるから自炊はやめられないんですよね〜。

 

夕食後から就寝まで

試験1日目の朝は7時半ごろには試験会場に向けて出発することになっていたので、

試験前夜は22時までにはベッドに入り翌朝6時に起床する予定でいました。

夕食を早く済ませることができたので、長湯することにしました。

持参した入浴剤(この日は白桃の香りがする入浴剤でした)を使用し、

疲れを癒やして心身ともにリフレッシュした状態で試験を迎えられるようにしました。

洗髪剤もホテルに備え付けられたものではなく、

持参したちょっと良いやつの使い捨てタイプのものを使用しました。

ホテルの備品を使うと髪がキシキシしてご機嫌やや斜めとなってしまうのですが、

今回持ってきたシャンプー・コンディショナーは当たりでした。

お湯の温度が少々ぬるくて物足りなさを感じはしましたが、おおむね満足でした。

 

ちょっとした工夫をすることでできる限り万全の状態で本番に臨めるように

努力することはとても大事なことだなとつくづく思います。

試験当日編で詳しく語ろうと思うのですが、

国試本番では体調やメンタルといったことの方が成績を大きく左右し得るからです

 

お風呂からあがり、寝支度を終えたのは21時半ごろのことでした。

備品のドライヤーの風力が弱くて髪を乾かすのに時間がかかってしまったのは

少々残念でしたがここまでほぼ計画通りに過ごすことができました。

22時までの残り30分は明日の準備に充てました。

正直な話、実力をちゃんと発揮できれば必ず合格する自信があったので、

この日はもう勉強しないことにして、コンディションの調整に全力を注ぎました。

ストレッチをして心身の緊張をほぐし、試験会場へ持っていく荷物の最終確認を終え、

ベッドに入り、スマホのアラームを6時に設定し、部屋の明かりを消しました。

 

国試の悪魔

予定通り22時に就寝した私でしたが、アクシデントに見舞われてしまったのです。

私の身に何が起きてしまったのか?

結論から言いますと、2時を過ぎてもまったく眠れなかったのです。

 

原因はいくつかあります。

その1つは、エアコンの設定温度が集中管理されていたことです。

運転の切/入と風量の変更しかできず室温を自由に変えられないことは

初めて入室した時から知っていましたが、寒くも暑くもなく適温だと感じていました。

しかし、布団の中にしばらくいると暑くて暑くて仕方がなくなってしまいました。

布団をひっくり返すことで温められた内側の空気を外に逃したり、

外気を取り込んで室温を少し下げたりするなどの策を講じてみました。

けれどもその甲斐なく眠ることは出来ませんでした。

次に、エアコンの運転を切ってしまうことにしました。

タイマー機能はもちろんないので、朝方部屋が冷えるリスク覚悟の上の決断でした。

ただ部屋の気密性が思ったよりも高く、室温は一向に下がりませんでした。

再び換気をすることで室内を冷やす方法も考えたのですが、

朝寒くなりすぎてしまうことが怖くて出来ませんでした。

結局暑さに体が順応することは最後まで叶いませんでした。

温度の手動設定やタイマー機能が使用できたのなら快眠できたのかは不明ですが、

ここまで寝苦しさを感じることはなかったでしょう。トホホ…。

 

2つ目の原因は、色々な音が耳障りだったことです。

ベッドのすぐそばにある冷蔵庫がぐわんぐわんとうるさかったのです。

それから排水管の中を流れる水の音が断続的に聞こえてきました。

隣室からは何も聞こえてこなかったのは不幸中の幸いでした。

 

そして3つ目の原因は緊張でしょうか。

勉強量は十分であり模擬試験の結果からも不合格になってしまう可能性はとても低く

絶対に受かるという自信と精神的余裕をもってここまで来ていたはずでした。

 

国試の第一セクションであるA問題は9時半開始であり、

その小1時間ほど前より厚労省の方のありがたい長い長いお話をいただけるので、

8時台には身体をしっかり覚醒させて頭をスッキリとさせている必要がありました。

 

ところが普段から寝つきが悪く眠りにつくまでに数時間かかることがよくある上に、

いつもは2〜3時に寝て10時くらいに起きる遅寝遅起きの生活をしていました。

そこで国試の1ヶ月ほど前より生活習慣の改善に取り組み始め、

12時就寝6時起床の生活リズムへの矯正を行なってきました。

矯正はうまくいっていたので試験前夜もすぐに眠れると思っていたのですが、

知らず知らずのうちに国試へのプレッシャーを感じてしまっていたのでしょうか。

 

センター試験や二次試験の時の方がよっぽど不安を感じていたにもかかわらず

ぐっすり眠れていたはずなのに、一体どうしちゃったんでしょうね…?

 

国試1日目の朝

寝るのが苦手な一方、起きたい時に起きることは得意であり、

どんなに眠れない日であっても寝坊はこれまで一度もしたことはなく、

試験当日の朝もちゃんと6時に起床することができました。

 

後輩の皆さんへのアドバイス

試験前日の話はこれで以上となります。

 

ここからは試験前日のことに関して来年度以降に国試を受ける方に

伝えておきたいことを綴っていきます。

 

1. 前日は何を勉強したら良いのか? 

欲張らないことを意識しましょう。

 焦りや不安から色々な参考書を見てしまいたくなる気持ちは抑えましょう。

 各科の最頻出・最重要な事項のみに目を通すような広く浅い知識確認にしましょう。 

・具体的なことを言えば、プリントした究極MAPを見ている人が多数派でした。

友人同士で出し合った問題が本番にも出題されるというあれは割とマジです。

 私は友人を質問攻めにしたのですがその中から結構出題されていて、

 自分と友人の合格がグッと近づいたように感じました(試験中にね笑)。

・私のように勉強しないのも1つの手だと思います。

 

2. 前日はどのように過ごせば良いのか?(勉強以外のことで)

「試験前日」としてではなく、「直前期のラスト1日」として過ごしましょう。

 明日は本番だからと何か変わったことをする必要はありません。むしろ禁忌かも。

 私を例に挙げれば、前日もそれまで通り「12時就寝6時起床」でよかったのです。

体力面でも万全で本番を迎えられる様にしましょう。

 国試は思った以上に体力勝負の側面が強いです。

 会場の独特の雰囲気や落ちてはならないというプレッシャーなどのために

 同じタイムスケジュールで実施した模擬試験の時よりはるかに消耗します。

・当然ですが”食あたり”のないような食事を取るようにしましょう。

 寿司とかは試験が終わってからにしましょうね!

「勉強は1日にして成らず、心身は1日にして崩る。」肝に銘じておいてください。

 

3. 前泊する上でのポイント

宿泊費を安く済ませることよりも快適に過ごすことを優先しましょう。

 ユニットバスが快適であること、勉強するのに適していること、

 道路や線路からの騒音に悩まされないこと、コンビニが近いことなど、

 自分にとって好条件な施設を選ぶことをお勧めします。

・試験会場へのアクセスは入念に調べておきましょう。

 万が一交通機関が麻痺してしまった場合の行き方も要チェックです。

 国試は例年2月に実施されるわけですから大雪の可能性がある年は注意です。

・私は洗髪剤や入浴剤を持参しましたが、

 あると気分がアガるようなものを持っていくと良いと思います。

・室温の調節も大事ですが、湿度の調節も大事です。

 もし加湿器や空気清浄機のない部屋であった場合は、

 濡らしたタオルをハンガーにかけて部屋干しすることで乾燥を防ぐことができます。

 

4. 人との付き合い方

一緒に受験する同期との関わりは必要最低限に抑えましょう。

 すべての受験生が心に余裕を残せているとは限りません。

 普段ならなんてないことも気に障るし気に障らせてしまいます。

 可能な限り単独で行動することを私はお勧めしますが、

 一人は心細いという方は本当に気心知れた人とだけ一緒にいるようにしましょう。

「触らぬ神に祟りなし」です。

 

次回予告

次回は試験1日目についての受験記を書こうと思っています。

新生活の準備等のためにいつ公開できるかはわかりませんが、

出来るだけ早く仕上げますのでそれまでお待ちいただけると幸いです。

それでは今回はここまでで失礼いたします。