スミシー医ハーサカのブログ

医学部に入学してから卒業するまでのたわいもない話

#20 第117回医師国家試験受験記 ②試験1日目編 -Part1-

The first day of the examination -Part 1-

 

こんにちは、スミシー医ハーサカです!

 

今回はいよいよ国試当日について語っていきます。

予備校の採点サービスを利用したところ、

必修も一般臨床も90%以上の得点率が期待されるとのことでした。

ということで、「受験記」改め「合格記」ということでよろしくお願いします笑

 

 

 

起床から出発まで

体力の限界を迎えるまで寝られなかった眠りから覚めたのは6時を少し過ぎた頃でした。

最悪の寝付きの割にはすんなりとベッドから起き上がることができました。

着替えや洗顔、歯磨き、髪のセットなどを済ませ、朝食を受け取りに向かいました。

 

朝食を持って自室に戻りましたが、あまり食欲がなかったので手はつけませんでした。

けれど何も食べないのも良くないと思い、

昨日コンビニで購入したスープを食べました(委員の人、大変申し訳ない…)。

また、国試初日をなんとか乗り越えられるようにとリポビタンDをグイッと飲み干しました。

 

朝食を終えてから出発までの残り十数分間は

朝のニュース番組を見ながら会場に持っていく荷物の確認をして過ごしました。

筆記用具(HB鉛筆6本、鉛筆削り1個、消しゴム2個、ボールペン1本、定規1つ)、

受験票、伊右衛門1本、キットカット1箱、財布、iPadなどをリュックに入れました。

 ※医師国家試験の持ち物に関するルールについては後で述べます。

 

忘れ物がないことが確認できたので部屋を出ました。

いよいよ会場に向けて出発です。

 

ホテルから試験会場への移動

ホテルを出発したのが7時半過ぎでした。

会場は思ったより遠く、自動車での移動だと20分弱かかる程の位置にありました。

 

試験前日の移動の時以上に張り詰めた空気、

1分1秒たりとも無駄にできないと言わんばかりに皆参考書を見ていました。

睡眠不足の私は、動揺病(乗り物酔いのことです、医学生っぽいでしょ?笑)に

なってしまうことが怖かったので参考書は開きたくなかったのですが、

あらぬ誤解を招きたくなかったので勉強しているフリをしていました。

 

前回のブログで「触れぬ神に祟りなし」と言いましたが、

相手に直接働きかけなくてもその人の神経を逆撫でてしまうことがあるので注意です

例えば、周りの同期が必死になって知識の最終確認をしている中で、

余裕の雰囲気を醸し出していると殺意のある視線を送られてしまうことがあります。

それが試験前に心を落ち着かせる目的であってもです。

「みんなと同じようにする」という”医学部の鉄則”はここにも当てはまるようです。

 

試験会場に到着

試験会場に到着したのは8時過ぎくらいでした。

試験会場の敷地内は自・他大学の医学生でごった返しており、

先ほどまでの静けさが嘘だったかのように、辺りは騒がしいものでした。

 

移動中の雰囲気がどのような状態になるのかは大学によりけりということでしょうか?

はたまた、緊張から喋らずにはいられないのでしょうか?

それとも、私が変に勘ぐりすぎなのでしょうか?笑

 

いずれにしろ、人混みが苦手な方は会場の空気に飲まれないよう気をつける必要があります。

イヤホンをして自分の世界に没頭するのもいいですし、

仲の良い同期とまとまって行動するのも良いでしょう。

試験開始までの時間をどのように過ごしたいかで決めましょう。

 

試験会場への入場

試験会場の中には1列になって入場しました。

列の先にはサーモグラフィーカメラが設置されており、

カメラに体の正面を向けるようにしながら通過するよう厚労省の役員から指示を受けました。

接触型の体温計を額にかざされるものと思い込んでいたので少し驚きました。

これは後になって知ったのですが(お恥ずかしい限りです…)、

どのように検温が行われるかはちゃんと厚労省のサイトで公表されていました。

4 試験場入口(原則施設外)にてサーモグラフィカメラによる検温を実施し、37.5度以上の者は再度接触型体温計により検温し、37.5度以上あった場合は、抗原定性検査キットによる検査を実施。検査の結果が陽性となった場合は、受験を認めない。陰性となった場合は、別室で受験させる。

www.mhlw.go.jp

 

寝不足だと自律神経の乱れが影響して体温が上がることがあり、

もし検温で引っ掛かったらどうしようと一抹の不安を覚えていたのですが

あっさり検温をパスできてしまいました。

 

試験室への入室

検温を済ませたらいよいよ試験室への入室です。

扉の前に設置されたアルコールハンドスプレーで手指消毒をしたのち入室しました。

なお、会場到着から試験室入室まで、受験票の確認などの本人確認はされませんでした。

 

試験室は会場ごとにまったく異なるようです。

私の試験会場について話してしまうと身バレの可能性が高まってしまいます。

そこで、地方厚生局が過去に行われた医師国家試験の会場を撮った写真を

ネット上に公開していたのを見つけましたのでそちらを載せておきます。

 

画像1:東北厚生局HPより引用

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/kikaku/images/111ishishiken_1.jpg

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/tohoku/kikaku/photoreport33.html

 

画像2:四国厚生局HPより引用

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/photo/images/h28kokka1.jpg

https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/shikoku/photo/torikumi290306.html

 

座席までは受験番号を頼りに自力で向かいます。

受験番号の書かれた紙が長机に貼ってあるので自分の番号を探して座ります。

座席の配置は先ほどの引用画像のような感じで、長机に間隔を開けて二人が座る形でした。

 

私の席は内側にあり、前後左右にも受験者がいましたが、その中に同級生はいませんでした。

席順は50音順をベースにはしていましたが100%そうではありませんでした。

同じ大学の受験者を遠ざけて配置することで

結託してカンニングなどの不正を働くことを防ぐ意図があると考えたのですが、

隣はもちろん、横一列同級生だったところもあったと後で知り、

席順の謎は迷宮入りしました(誰か知っている人がいたら教えてください笑)。

 

試験開始まで

最初の試験であるA問題は9時30分から開始されるのですが、

8時55分から試験に関する注意事項等の説明が行われるため、

それまでには必ず着席しておくように指示されます。

 

会場入りして自分の座席を見つけたのが8時15分くらいのことだったので、

40分ほど自由にできる時間がありました。

 

席に着いてから初めにしたことは筆記用具などを机の上に準備することでした。

HB鉛筆6本、消しゴム2個、定規1つ、受験票を机の端に並べて置きました。

鉛筆キャップや鉛筆削りは机の上に出してはいけないのでカバンの中にしまいました。

鉛筆削りを試験中に使用することは原則認められてはいませんが、

どうしても使いたい場合は試験官にその旨を伝え許可を得る必要があります。

 

次に腕時計を装着しました。

試験会場に時計が設置されていないことは多いため、腕時計はマストアイテムですが、

電卓機能や通信機能のついている腕時計は使用禁止です。

それと腕時計は必ず身に付けて使用しなくてはなりません

もちろん置き時計も使用禁止となりますが、腕時計のベルトが故障してしまったために

腕時計を置き時計として使用することが認められている受験生を目撃しましたので、

もし何かあれば試験官に尋ねるようにしましょう。

 

道具類の準備が整ったので、場所や雰囲気の確認も兼ねてお手洗いに向かいました。

見た目は小綺麗で不快感なく使用することができましたが、

珍しく男性用便所の前に短い列ができていて

トイレの数は受験者数に対してやや少ないのかなと思いました。

また、洗った手を拭く紙やハンドドライヤーは設置されておりませんでしたので、

日頃持ち歩かない人もハンカチを用意しておきましょう

 

お手洗いを済ませて自席に戻ると

1つ前の席の他大生と、通路を挟んで右隣の他大生をそれぞれ中心として

2、3人ほどの受験生がたむろしていました。

今の私のような”おひとりさま”にとって、このような状況は苦手なものです。

ですが彼らに悪気があるわけでもなく、

みんなで知識の確認をしているだけなので致し方ないです。

そこで、イヤホンを装着して心を落ち着かせることにしました。

もちろんこの時に聴いていたのもアニソンです。

オフラインでも再生できるようにダウンロードしていた曲をランダム再生しました。

いつもアニソンを聴きながら勉強しているのですが、

勉強した内容がその時流れていた曲と共に思い出されることがよくあります。

みなさんにも似たような経験があるのではないでしょうか?

アニソンを聴くことでリラックスすることができただけでなく、

知識が仕舞われた”脳内箪笥”の引き出しの滑りを良くすることもできました。

 

8時55分が近づくほど、試験室に漂う緊張感が強まっていくのを肌で感じました。

あれだけ騒がしかった周囲もすっかり黙りこくってしまいました。

イヤホンがなくても大丈夫な状況になったのでイヤホンを外し、

ついでにスマホiPadの電源を落としました。

スマホ携帯電話は配布された茶封筒の中に入れた状態で机の上に置くように指示されます。

万が一、試験中にスマホが鳴ってしまった場合、スマホはその袋ごと回収されるそうです。

iPadはカバンの中にしまったのでOKです。

 

そのまま試験に向けた最終準備に移りました。

ここでは大事なのはどのような服装で試験時間を過ごしたいのかです。

まず、試験中は自由に服を脱いだり着たりすることはできません

また、膝掛けの利用や脱いだ服を膝にかけることもできません

脱いだ服は座席の背もたれに掛けるのではなく椅子の下に置くよう指示されます。

つまり、休み時間の間に試験中のベストな服装を見つけておくべきなのです。

先ほどの試験室の画像に戻りますが、

画像1のような試験室の場合は暖房の効き過ぎに注意すべきと予想し、

画像2のような試験室の場合は暖房がそもそも付いているのかにもよりますが、

出入口や換気口と座席との位置関係が悪いと冷たい空気が流れてくる可能性があり、

防寒着を着たまま試験を受けた方が良いケースもあると予想します。

※膝掛けは試験会場によってはOKのところがあると聞いたことはあるのですが

使うことは出来ないと思って臨む方が良いと思います。

 

服装を決めた後は机の上に出した鉛筆、消しゴム、定規、受験票の確認を行いました。

ここまでくればあとは時が来るのを待つのみ。

目を閉じて静かにその時を待ちました。

 

説明開始

定刻通り、8時55分から注意事項の説明が始まりました。

途中退出と試験中のトイレに関する説明だけはちゃんと聞きましょう笑。

 

途中退出が可能なのは試験開始1時間後から終了15分前の間であること、

途中退出する際には挙手して試験官の許可を得ること、

その際に問題冊子を試験官に1度預けること、

一度退出したら試験終了まで再入室できないこと、

もし問題冊子の返却を望むのなら試験終了後に試験官に申し出ること。

 

試験中にトイレに行きたくなった場合は挙手により試験官に伝えること、

トイレには一人ずつしか行けないので試験官に案内されるまで自席で待つこと、

席を立つ時には問題冊子やマークシートは裏返しにしておくこと。

 

以上のことさえ押さえておけば、あとは常識があれば大丈夫です。

この説明タイムでは、とても退屈な時間を過ごすことになります。

しかもこれがあと5回繰り返されるため、

「早くしてくれ!いい加減にしろ!」というイケナイ感情が生まれてきてしまいます。

この説明時間を短くしてくれれば拘束時間も短くて済むし、

受験生の負担も少しは減るのですがね…。

 

問題冊子・マークシートの配布

長い長い説明も終わり、ようやく問題冊子とマークシートが配布される時間です。

 

はじめに、本人確認がなされます。

試験官が受験者一人一人を確認しに回ります。

試験官が自分のもとに来たらマスクを外して内側が見えるように広げます。

素顔とマスクを用いた不正行為の有無をチェックするためです。

試験官は受験者の写真が貼付された受験票をもとに本人確認を行いますが、

受験者が机に置いた受験票はカーボンシートによる”写し”です。

 

次に、机の上に出してある筆記用具やスマホを入れた茶封筒のチェックが行われます。

 

ティッシュを置いておきたい人は入れ物から出して裸の状態にしておきましょう。

そうしておけば試験官がチェックしてくれます。

 

それから、マークシートから配布されます。

模試を受験したことがあれば見たことがあると思いますが、

マークシートには上から下にマークしていくもの(様式①)と

左から右にマークしていくもの(様式②)の2種類あります。

2種類ある理由はカンニング防止のためだと言われています。

縦1列で同じ様式のマークシートが配布され、

隣の列の受験者のものとは異なる様式のものが配られる仕組みになっています。

模試ではセクションごとに様式が入れ替わりますが、本番ではずっと同じ様式が配られます。

全受験者分が配り終えられると

試験会場や受験番号などのマークの仕方についての説明を受け、その後それらを記入します。

試験終了後のマークシートの訂正は、たとえ氏名や受験番号であっても許されません。

試験官の指示をしっかり聞いた上で慎重に記入しましょう。

 

そして、問題冊子と別紙(画像集)が最後に配布されます。

説明タイムも長かったですが、配布にかかる時間もものすごく長く感じました。

 

全てが配られ終えてから試験開始時刻まで約5分くらいの間があったのですが、

その間は目を閉じて精神統一を図っていました。

そろそろ開始かな?と思っていると、

「A問題は全部で75問あり、1ページから59ページまで…」というアナウンスが入り、

試験開始の合図を今か今かと待っていただけにとても驚かされました。

 

そのアナウンスから10数秒後、ようやく試験開始の合図がなされました。

せっかくの瞑想が台無しとなったスタートでした。

 

A問題開始!

A問題は、「各論」であり、全部で75問あります。

制限時間は2時間45分です(9時30分〜12時15分)。

※医師国家試験がどんな試験なのか知りたい方は私の過去の記事をご参考ください!

med-hayasaka.hatenablog.com

 

問題の詳細な振り返りはまた回を改めてそれ専用の記事を上げたいと考えています。

当初はこの回に含めるつもりでしたが分量がとてつもないことになり、

読者の皆さんへの負担が大きくなってしまうのでやめました。

というわけで今回は試験中の心情を中心に書いていきたいと思います。

 

第1問から第14問までは一般問題が続きます。

模擬試験では各予備校がこぞって難しい問題を並べていた印象がありました。

本番もそうならないか内心ひやひやしていたのですが、

比較的簡単な内容の問題ばかりで安心しました。

 

予備校は模試を難しくして「このままじゃヤバいかも⁉︎」と受験生に思わせることで、

動画講義やテキストなどを購入させようと企んでいる説を推しています。

これだけでなく、予備校はメルマガや学年代表を介したPR活動を頻繁に行うことで

「模試受けた方が良いかな?みんなやってるなら私も講座取らなきゃダメ?」

という気にさせて自社のサービス・商品の購買を迫ってきます。

 

予備校に大変お世話になっている受験生の方々には大変申し訳ないのですが、

「ビビって損したわ!」と予備校に対する勝手な怒りを覚えながら解きました。

 

(脱線はこのくらいにしておいて、)

臨床問題では過去回で既出のテーマが散見され、

過去問演習しておいてよかったなと思った問題が結構あったように感じられました。

好酸球性食道炎の問題など、模試が予想を的中させたものもいくつかありました。

ただ、模試を3社(MM、TECOM、MEC)受けた私から言わせてもらえば、

模試を受けていなくても別段困りはしなかったと思います。

たこつぼ心筋症が正答となる問題の初登場に驚いたり、

国試で高齢者の潰瘍性大腸炎が出題された前例が思い当たらず困惑したり、

β遮断薬が正答だと分かっていても禁忌が怖くてしかたがなかったりしました。

 

75問すべてを解き終えたのが試験開始1時間30分後くらいでした。

模試でもいつもこのくらいのペースだったので順調さが窺えました。

 

ここからは各問題の自己採点に取り掛かりました。

マークミスや重要事項の見落としがないかを確認しながら

絶対に合っている自信のあるものには◯をつけていき、

その◯の数を数えて予想される最低得点率を計算しました。

大学の試験や模試では、この最低得点率を途中退出する目処として利用していました。

国試では移動を同期と共にしなければならないこともあり、

途中退出しないことにしていたので、◯のつかなかった問題に限定して解き直しました。

 

解き直しを終えても終了時刻まで30分以上残っていたので、

マークミスをしていないか、選ぶ選択肢の数を間違えていないか、

禁忌肢を選んでいないかをもう一度確認しました。

 

最後の15分間は昨夜の睡眠不足を少しでも補おうと目を瞑って体力回復に努めました。

 

A問題の総評ですが、問題の難易度が両極端な75問だったなという印象でした。

8割以上の正答率が予想されるくらいの簡単な問題が多く、

正答率が5割に満たないであろう難しい問題も増えたように感じました。

そして、その中間くらいの難易度の問題が減ったようにも感じました。

 

小休止

問題の詳細な振り返りを後回しにしてもかなりの文量になってしまったので

試験1日目編はここで一旦区切ることにしました。

ここまでをPart1とし、続きはPart2以降に書いていきますのでよろしくお願いします。