スミシー医ハーサカのブログ

医学部に入学してから卒業するまでのたわいもない話

#22 第117回医師国家試験受験記 ④試験2日目編

The second day of the examination 

 

こんにちは、スミシー医ハーサカです。

今回は国試2日目について書いていきます。

 

試験1日目編はボリュームが予想以上にあったために2部編成となってしまいました。

ですが、2日目は1日目と重複するところも多く、省けるところは省いていますので、

試験2日目編は一気に読み切れるくらいの分量に仕上がっているはずです!

 

それでは最後までお付き合いください!

 

 

 

試験2日目の朝

昨晩の振り返り

試験1日目の夜の過ごし方で未来の国試受験生が気になっているのは、

「自己採点をした方が良いのかしない方が良いのか」でしょうか?

これは国試における永遠の命題と言っても過言ではないでしょう。

 

手応えが良かった場合、

自己採点で高得点が期待されるとわかったのなら自信満々で2日目を迎えられるでしょうし、

思ったほど良くないことがわかったのなら不安を抱えながら2日目を迎えるでしょう。

手応えが悪かった場合はその逆です。

 

自己採点をしなかった場合は、

「あの問題は果たして正解できただろうか?」「禁忌肢踏んでないだろうか?」という

もやもやを抱いたまま2日目の試験に望むことになります。

とはいえ、いざ2日目最初のセクションであるD問題が始まってしまえば、

目の前の問題に嫌でも集中することになるので、そのもやもやは去っていくでしょう。

 

しかし、自己採点により「落ちてしまうかもしれない」と思ってしまった場合、

ここからくる不安や焦りといった感情はなかなか消えてくれません。

消えないどころか、答えのわからない問題が増えていく度に増長されていき、

思考力や判断力、直感力を鈍らせケアレスミスを誘発させてしまいます。

 

私個人の考えとしては、試験1日目終了後の自己採点は

メリットよりもデメリットの方が大きいのでやめておくのが無難だと思います。

それよりも、(何度も言いますが、)心と体の疲れを取ることの方が重要です。

 

ホテルから試験会場へ

2日目の朝も、1日目とほとんど同じ様に過ごしました。

違う点を挙げるとすれば、チェックアウトをしたことくらいでしょうか。

 

2日目の移動時の雰囲気は取り立てて説明するほどのものではありませんでした。

強いていうなら朝早くてみんな少しまだ眠たそうだなぁという感じでした。

 

ところがどっこい、試験会場は1日目と大して変わらず賑やかで、

「みなさんお若いですねー。」と思っていました(同年代のくせに何言ってんだこいつ)。

 

D問題が始まるまでの過ごし方も昨日と同じでしたので割愛させていただきます。

 

D問題開始!

D問題は、「各論」であり、全部で75問あります。

制限時間は2時間45分です(9時30分〜12時15分)。

 

D問題もA問題のように難易度が両極端でした。

「側頭葉てんかん-自動症」や「手根管症候群-母指から環指橈側の感覚障害」といった

必修問題で出てもおかしくないようなド定番の問題が出たかと思えば、

破傷風-メトロニダゾール」のように

イヤーノートで青字・太字にもなっていないような知識を問うてきたりと、

学生に求めるレベルが一体どのくらいの高さなのか推量れません。

 

きっと医師国家試験の試験委員の先生方もどんな問題を出題すれば良いのかわからず

試行錯誤しているのかもしれないな〜なんて考えながら、

簡単な問題の取りこぼしがないよう注意しながら解いていきました。

 

E問題開始!

E問題は、「必修」であり、全部で50問あります。

制限時間は1時間35分です(13時35分〜15時10分)。

 

(※昼休憩の過ごし方は1日目とほとんど同じだったので割愛させていただきます。)

 

E問題は自信を持って答えられた問題が同じ必修のB問題より少なかったです。

必修のくせに根拠を持って最後の2択を選択することができない問題がいくつかありました。

 

その代表例が問46の問題です。

現病歴からは新型コロナウイルスに感染している可能性がかなり高いにも関わらず、

自宅と搬送先とで行った新型コロナウイルス抗原定性検査がそれぞれ陰性だった患者に対し、

次に行うべき最も優先度の高い検査はどれか?という問題です。

 

新型コロナウイルスPCR検査」と「インフルエンザウイルス迅速抗原検査」のいずれかが

正解選択肢だろうということはすぐにわかりました。

しかし実臨床ではどちらも行われており、施設ごとにその対応が異なるというのが実情です。

答えを2つ選ぶ問題であれば迷うことはないのですが、答えはただ1つしかありません。

どちらがより多くの施設で行われているでしょう?という問題なのだとしたら

これはもう奇問中の奇問としか言いようがありません。

 

しかもこれが「3点問題」というからさらに驚きです。

今年度は必修落ちが増えるという噂がありましたが、

お上はこういうところで合格者を減らそうとしているのでしょうか?

 

F問題開始!

F問題は、「総論」であり、全部で75問あります。

制限時間は2時間30分です(16時00分〜18時30分)。

 

いよいよ最終セクションであるF問題に突入。

 

一般・臨床、いわゆる”パンリン”の満点は75×4=300点です。

そしてパンリンにはボーダーがあり、例年70%前後です。

よって、240点(80%)以上取れていれば合格間違いありません。

ですが、パンリンで240点以上取るためには、

たとえA・C・D問題で満点だったとしてもF問題を無回答で帰るわけには行きません。

国試は最後まで気の抜けない試験なのです。

 

しかし、F問題に挑んでいる頃には疲労も限界に達してくるので、

油断してしまうと簡単に足をすくわれてしまいます。

各セクションの間にある休憩時間は、少しでも疲れが取れるようしっかり休みましょう。

 

さて、F問題で物申したいのは問75です。

第117回のフィナーレを飾る問題はどんなものなのか?

ちょっとワクワクドキドキしながらページをめくったのですが、

「えっ、最後の問題がコレですか⁉︎」と驚き呆れたのを今でも覚えています。

 

なぜ、そう思ったのか?

問75は推定細胞外液量を算出する問題だったのですが、

問71で問われたA-aDO2のような公式にあたる計算式が推定細胞外液量には無いからです。

 

問題文で与えられたのは、年齢、性別、健康状態、身長、体重、BMI、腹囲、体脂肪率でした。

ところが、推定細胞外液量を求めるのに使用するのは体重のみです。

1年生か2年生で習うと思うのですが、

ヒトの体液の割合は細胞内液:細胞外液=2:1とされています。

そして、体液(水分)は成人の体重の約60%を占めているとされています。

従って、推定細胞外液量 = 体重 × 0.60 × 1/3 で一応は求めることができます。

 

しかし、コンセンサスの取れた公式でもない計算式と、

個人差のある曖昧な数値とを用いて解答するような問題が

国家試験の問題として出題されていいのでしょうか?

 

国試終了!

最後のセクションであるF問題が終了する瞬間を問題冊子に落書きをしながら迎えました。

寝ながらその瞬間を迎えようとも思ったのですが、

もしそうしていたら試験が終了したことにも気づかず寝続けてしまうような気がしたので

お絵描きをして暇を潰すことにしました。

 

終了の合図と共に、「終わったー!!」と大声で叫び出したり、

問題冊子を宙に放り投げたりする人はいないかなーなんてちょっぴり期待したのですが、

そんな面白い人は誰もいませんでした笑

 

帰りたい 帰りたい あったかハイムが待っている♪

長かった2日間も終わり、ようやく我が家に帰ることができます。

温かいご飯、温かいお風呂、温かいお布団のある生活に早く戻りたいっっ!

 

荷物を投げ入れるかのようにリュックにしまい、そそくさと会場を後にしました。

会場の外では早速祝杯をあげている人が何人かいて、気が早いなーとは思いましたが、

国試合格のために色々なことを我慢してきたからこその喜びの発露なのでしょう。

 

私も人混みの中から友人を見つけ、久々の歓談を楽しみました。

気兼ねなく普段通り接することができるようになったのがとても嬉しかったです。

あんなに心苦しい思いをしなければならない国試は二度とご免ですわ笑。

 

まとめ

国試の2日間に抱く思いは人それぞれだとは思いますが、

私としては精神面と身体面でとても疲れた2日間だったというのが率直な感想です。

いつもならば必要のない配慮が求められる何かと抑圧や制約の多い日々は、

想像以上にしんどいものであり知らず知らずのうちに消耗させられます。

長時間の試験時間や慣れない環境での生活は体力をごっそり持っていきます。

勉強面が充実した状態で試験に臨むことはもちろん大切ですが、

心身のコンディションがちゃんと整った状態で試験に臨むことはもっと大切です。

耳にタコができたよという人もいるかもしれませんが、本当に大事なことなのです。

 

次回予告

次回からは「問題の振り返り」を書いていきたいと思います。

まだ厚労省から公式の模範解答が公開されていない中での執筆となりますので、

私や予備校の思う正解と公式の正解が異なる場合があるかもしれませんが、

どうかご容赦いただけると幸いです。

また、実際に国試を受験してみて、

こういう勉強は良い/悪いなどについてもお教えできればと思っています。

 

それではしばしのお別れです。また当ブログでお会いしましょう。