スミシー医ハーサカのブログ

医学部に入学してから卒業するまでのたわいもない話

#25 初期研修は最もストレスフルな新人研修⁉︎

On the Horns of a Dilemma

 

こんにちは、医師となりましたスミシー医ハーサカです!

 

本記事は医師となって初めて投稿するものとなります。

初期研修医という”出来立てほやほや医師”について今回は軽くお話ししたいと思います。

それでは早速参りましょう!

 

 

 

そもそも初期研修医って何?

現在の日本の制度では、

新たに医師免許を取得して医師となった者は

最低2年間の臨床研修(医療の現場で実際に働きながら様々なことを学んでいくこと)

受けなければならない決まりとなっています。

この研修のことを初期研修といい、この期間中にある医師のことを初期研修医と言います。

 

ちなみに後期研修医と呼ばれる医師もいて、

初期研修を終えた医師はそれぞれが希望する診療科のライセンス(専門医)を

取るための臨床研修を開始するのですが、そんな彼らは後期研修医と呼ばれます

正確には過去の呼び方で現在は専攻医と言います)。

 

厚生労働省臨床研修の基本理念をこう示しています。

臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養し、

将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、

一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、

基本的な診療能力を身に付けることのできるものでなければならない。

 

つまり、「初めの2年間で医師としての基礎を身につけて

高い専門性が求められない程度のことは一人でできるようになろうね」ということです。

 

 

病院内における医師の立場

一目も二目も置かれる職業、それが「医師」

医師という存在は時に神様に喩えられるほどに

一般人よりもかけ離れたスゴイ存在と見做されることが少なくありません。

一般の方からそういった色眼鏡で見られないことはまずないと言っていいでしょう。

 

そしてこれは医師としての基礎を学んでいる最中である初期研修医であっても例外ではありません

 

新たに担当することになる患者さんのもとにご挨拶に伺うと、

「若いのに偉いわね〜」、「親孝行ですね〜」という感じに評価していただくし、

治療に大して携われていないにも関わらず患者さんからはとても感謝されます。

 

 

医療従事者間では一番の下っ端

初期研修医は「医師」ではあるけれども、

医師になりたての頃はなーーーんにもできない”ぺいぺい”です。

 

一般の方々からはもてはやされたり崇め奉られたりすることの多い初期研修医ですが、

その一方で病院でのカーストは最底辺です。

 

医学部で6年間、医学について勉強し、臨床実習も2年間やってはきましたが、

それは所詮医師免許を取るためのものに過ぎないもので(個人的には)、

いざ医師として医療の現場に立つと自分があまりに無力で悲しくなります。

 

今みなさんの目の前にいる初期研修医はお薬の処方や検査の指示出しをしたこともなければ

外来や病棟での診察も指で数えるほどにしかしてきていません。

採血だってろくに経験しておらず、針を刺されるみなさんよりも刺す私たちの方が緊張していると思います。

 

このように医師としてやらなくてはならない業務は全然こなせないし、

看護師さんの方が処置も上手だし病棟業務もテキパキこなします。

 

医師の方が看護師よりも優れていると言いたいわけではありませんが、

医師の指示を受けて看護師などの病棟スタッフが動き出すということが多いので、

リーダーとして不甲斐ないことに打ちひしがれてしまいます。

 

「先生早く指示出してください」、

「先生それはこの病棟ではこういう決まりになっています」と言われたり、

看護師さんに指示を求められても自分自身では何も判断・決断できず

「上の先生に確認してきますね」と言わざるを得なかったり…

まだまだ未熟なのだから仕方のないことですが、そのたびにメンタルは削られていきます。

 

病棟の片隅でミジンコみたいに縮こまっている白衣の人を見かけたらきっとそれは私です。

 

 

目まぐるしく変化する職場環境

初期研修の2年間、初期研修医は様々な診療科を経験します。

短くて1ヶ月、長くて3ヶ月で研修する診療科が変わります。

人によっては1年近く同じ診療科で研修するということもありますが、

初期研修では「この診療科を◯ヶ月間は経験しなさい」というルールがいくつかあり、

多くの研修医が診療科変更を10回くらいは経験することになります。

 

つまり初期研修医は異なる職場環境をいくつも渡り歩く必要があるということです。

ようやく環境に慣れてきたと思った頃にはもう診療科変更なんてことが往々にしてあります。

上司(上級医、指導医、教授…)との接し方がなんとなく分かりかけてきたのに

また新たな上司を迎えて数ヶ月頑張らなければならない。

診療科が違えば担当する病棟の場所も変わりますが、

病棟でのルールは診療科ごとに違いますし、配属されている看護師などのスタッフも違います。

 

初期研修医は息つく間も無く、すぐさま新たな環境へと適応することが求められるのです。

想像して見てください、数ヶ月単位で次々と配属部署を変えられることのしんどさを。

上司が変わり、職場のルールも変わり、仕事内容も異なり、機器や物品の位置も異なる。

初期研修医はうつ病の発症率がかなり高いと言われていますが、納得いただけると思います。

 

 

板挟みの初期研修医

初期研修医は様々なジレンマを抱えながら2年間を過ごすことになります。

 

患者さんサイドからは尊敬憧れ畏怖感謝そして期待を抱かれ、

医療従事者側からはお荷物青二邪魔者として扱われます。

 

一刻も早く役に立ちたいと張り切る一方で、

あまりに何もできないために落ち込んでしまうなんてことはよくある話。

 

初期研修医は理想と現実の間で板挟みに遭います。

 

 

皆さんにお願いがあります

同業者へのお願い

あなたの目の前にいる初期研修医は必ずしも優秀とは限りませんし、

精一杯頑張ってはいますが中々上達しない要領の悪い人かもしれません。

 

人には人の成長スピードというものがありますから、

温かく見守っていただき、助けを求められたら優しくサポートしてあげてください。

もし患者さんの命に関わるようなミスなど見逃せない行為があればその時は指摘してあげてください。

 

あなた自身が新人だった頃を思い出してみてください。

その時して欲しかったこと、されたくなかったことを考えて接してあげてください。

 

 

一般の方(患者さんなど)へのお願い

あなたのお世話をしている初期研修医は医師ではありますがまだまだヒヨっ子です。

できないことの方が多く、そのことであなたに迷惑をかけてしまうことがあるかと思います。

ですが、医師という職業に限らず、誰しも初めからうまくできるわけではありません。

 

その分できることには全力で取り組みます。

処置や治療、同意書についての説明を初期研修医が担当することは多いと思いますが、

おそらく初期研修医が一番懇切丁寧に説明してくれると思います。

 

初期研修医には多くを期待せず、

「研修頑張ってくださいね」と心の中で応援してくださると気が楽になります。

 

 

終わりに

いよいよ初期研修が本格的にスタートします。

今後のブログ活動では、研修の具体的な内容等について書いていけたらと思っております。

忙しくなりますので次の投稿がいつになるかは分かりませんが、それまでお待ちいただけると幸いです。

それでは失礼します。