スミシー医ハーサカのブログ

医学部に入学してから卒業するまでのたわいもない話

#13 ”フルロナ”が現実味を帯びてきた⁉︎ -自分の健康は自分で守ろう-

Flurona

 

こんにちは、スミシー医ハーサカです。

 

日本の秋を彩るもみじの紅葉、皆さんはご覧になりましたか?

辺り一面真っ赤となった景色も素晴らしいですが、

赤色、黄色、緑色、さまざまな色をした葉が織りなす風景もまたをかし。

見る者の心を豊かにしてくれるような気がしました。

 

そんな美しい紅葉のシーズンにもチラホラと終わりが見えてきました。

冬の到来です。

医学生として冬と聞くと思い浮かぶのはインフルエンザです。

 

コロナ禍のここ数年では、インフルエンザの感染者数は激減していました。

マスク着用や手洗い、手指消毒などのコロナ感染対策に努めたことや、

COVID-19の流行そのものがインフルエンザ流行を抑えたこと

(ウイルス干渉と言います)などが理由として考えられているそうです。

結果、インフルエンザワクチンが余るといった事態があちこちで起きていたそうです。

 

ところがどっこい、今シーズンではインフルエンザの流行が危惧され始めています

理由としては、外出や渡航への制限が解除・緩和されたことや、

直近の2年間インフルエンザの流行がなく、

インフルエンザへの免疫力が低下していることなどが考えられています。

現に、海外ではすでにインフルエンザの流行がみられています。

 

ここで気をつけなければならないことが”フルロナ”です。

フルロナとは「インフルエンザとコロナに同時に感染してしまうこと」を指します。

フルロナと呼ばれる新しいウイルスのことを意味しているわけでないのでご安心を。

 

では、フルロナの一体何に気をつけなければいけないのでしょうか?

1点目は、「症状が似ていること」です。

どちらも発熱、倦怠感、頭痛、咳、喉の痛みが主な症状として現れてきます。

そのため、症状だけでこれらを区別することはできません

インフルエンザの方が潜伏期間が短く、症状が現れるまでが早いとされてはいます。

しかし、いつ感染したのかがはっきりとわからない以上は

症状が出現するスピードにより鑑別することは困難です。

よって、そのような症状の患者さんが病院に来た場合、

医師たちはその患者をコロナに感染しているものとして対応せざるを得ません

インフルエンザであれば検査も簡便で治療薬もありますから

患者にとっても病院側にとっても比較的楽だと言えるでしょう。

しかし、コロナに感染しているもしくはその疑いのある場合では、

その患者を隔離したりテレビで見たことのあるような防護服を身にまとったりと

周囲に感染させないために万全な準備を施した上での診察や検査を強いられます。

それにコロナだと判明しても確実な治療法はありません。

インフルエンザだったとしても通常より時間も手間も費用もかかります。

日本では、例年であれば、毎年1000万ほどの人がインフルエンザにかかります。

これらすべての人に対して、コロナ対策をした上での診療をせざるを得ないのならば、

医療現場への負担は計り知れず、いわゆる医療崩壊を招きかねません

 

もう1点は、「フルロナでは死亡率が2.35倍高くなること」です。

イギリスのとある研究チームの報告によると、

コロナのみに感染した時の死亡率との比較において、

インフルエンザとコロナに同時感染した時では

死亡率が2.35倍になったという結果になったそうです。

このほかにも、フルロナの重症化率、死亡率の高さを報告している研究は複数あり、

インフルエンザとコロナへの同時感染に注意しなくてはならないでしょう。

 

それでは、フルロナにならないためにはどうすればいいのでしょうか?

至って答えはシンプルです。

これまで同様、手洗いや手指消毒、マスク着用、こまめな換気といった

基本的な感染対策を徹底し、ワクチンの予防接種を受けることです。

フルロナは確かに怖いですが、必要以上に恐れる必要はありません。

 

オミクロン株に対応したワクチンを接種した人が亡くなるというニュースがあり、

ワクチン接種を躊躇っている方も中にはいらっしゃるとは思います。

ワクチンは100%安全なものでは決してありません。

しかしながら、厳しい審査を通過しその安全性と効果を認められたのも事実です。

コロナワクチンのみならず、インフルエンザワクチンの場合でも、

大きくニュースに取り上げられてこなかっただけで

ワクチン接種後に望まぬ結果となってしまうことはこれまで何度もありました。

目の前にある印象的な情報のみに捉われた判断だけは避けましょう。

ワクチンについてしっかり調べた上で、

「私には、ワクチンはメリットよりもリスクの方が大きい」と

判断したのであれば、ワクチンを打たないのもありだと思います。

 

 

「あなたの健康を守れるのはあなた自身だけなのです」